ぼくの心の揺れ動くはかりの上で

「あ、え、田村さんっ。も、も、もう来てらっしゃったんですね」 ぼくに関して萩原雪歩が犯した本質的かつ神秘的な失策は、《汝の憂いは雪片に翳るあらゆる意味》、今だに世に現出することを叶わせていない、壮麗にして幽玄かつ無欠の長編エレクトロニカミュ…

神聖駆動

いつかの風景 本当のことを話すにはただ本当のことだけを書けばいいわけじゃない。ある種の本当の瞬間は虚構の中にこそあったりもする。だからこの文章は事実という意味では本当のことは何も書かれていない。しかし、ある種の本当のことは書かれている。記憶…